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安全教育をストーリーで|事例を朝礼で伝える

公開日最終更新日

事故やヒヤリハットの事例は、「ルールを守らなかったから起きた。気をつけよう」で終わらせず、「どんな状況で、どこで判断が分かれ、何が起き、どうすれば防げたか」という物語の流れで伝えると、聞く人が自分の作業に置き換えやすくなります。朝礼では1回に1つの事例を、スライド5枚前後か1分程度の短い動画で、2〜3分で話すのが目安です。個人を責める話にせず、名前や現場が特定されない形にしておけば、報告が集まり続ける職場づくりにも役立ちます。

なぜ事例を「物語」にすると伝わるのか

「脚立の天板に乗らない」「開口部には手すりを」といったルールは、何度も聞くうちに聞き流されやすくなります。一方で、「急いでいた」「あと少しだけだと思った」といった状況と、そのときの判断を含んだ話は、「自分にもありそうだ」と感じやすく、記憶にも残りやすいものです。

また、事故の話が「誰が悪かったか」を追及する場になると、次にヒヤリとした人は報告をためらうようになります。物語の中心を「人」ではなく「状況と判断」に置くことで、責める教育から、全員で学ぶ教育に変えられます。ここで取り上げるのは、現場の中で働く人に向けた安全教育です。仮囲いなど地域に向けた発信は仮囲いサイネージの近隣お知らせをご覧ください。

事例を物語にする5つの要素

手元にある事故報告やヒヤリハット報告を、次の5つの要素に分けて並べ直すだけで、物語の骨組みができます。

要素書く内容ポイント
1. 状況いつ・どこで・どんな作業中だったか天気、時間帯、急ぎの有無など、判断に影響した条件を入れる
2. 目的その人は何をしようとしていたか「さぼろうとした」ではなく「早く終わらせようとした」など、誰にでもある動機として書く
3. 分かれ目どこで別の選択ができたか聞き手に「あなたならどうする?」と問いかける場面にする
4. 結果何が起きたか、起きかけたか大げさにせず、事実を短く
5. 明日からの行動どうすれば防げるか「気をつける」ではなく、具体的な行動を1つに絞る

例:脚立から降りるときのヒヤリハット

例えば、次のように組み立てられます。「夕方、片付けを急いでいた作業員が、脚立の上で照明の配線を仕上げていた(状況)。最後の1本を早く終わらせたくて、脚立を動かさずに体を横に伸ばした(目的と分かれ目)。脚立がぐらつき、とっさに手すりをつかんで転落は免れた(結果)。今日からは、手が届かないときは一度降りて脚立を動かす。降りるときは、工具を腰袋に入れて両手をあけ、脚立のほうを向いて降りる(明日からの行動)」。

このように書くと、聞き手は「自分も急いでいるときにやってしまうかもしれない」と考えやすくなります。最後の行動は、その日の作業ですぐに実行できるものにしましょう。

朝礼で使うスライド・短い動画の構成

朝礼の時間は限られているので、1回で伝える事例は1つに絞ります。スライドなら次の5枚が基本の型です。

  1. タイトルと問いかけ:「急いでいるとき、脚立をどう使っていますか?」
  2. 状況:作業場所の写真や図と、時間帯・天気などの条件
  3. 分かれ目:「ここで、どうしますか?」と問いかけ、数秒考えてもらう
  4. 結果と原因:何が起きかけたか、なぜそうなったか
  5. 今日の行動:具体的な行動を1つ、大きな文字で

短い動画にする場合は、1分程度にまとめ、音が聞こえにくい屋外でも分かるように字幕をつけます。現場で再現する様子を撮る場合は、撮影そのものが危険にならないよう、実際の高所や重機の近くで再現しないなどの配慮が必要です。写真はスマートフォンで撮影し、翌朝の朝礼でそのまま共有できます。

PowerPointで作ったスライドは、アニメーションが完全には再現されない場合があるので、動画やPDF、画像に変換して登録すると確実です(PowerPointのアニメーションをそのまま使えますか?)。

話し手は、所長や安全担当者に限らず、職長が交代で務めるのも一つの手です。スライドの各ページに話すことを1〜2行のメモで添えておけば、慣れていない人でも同じ流れで話せます。話し終えたら、「今日の行動」を作業前に全員で一度声に出して確認すると、聞いて終わりにならずに済みます。

ゲンバルジャーで朝礼に流す方法

ゲンバルジャーでは、事例のスライドや動画をメディアに登録し、プレイリストで順番と表示秒数を決めて、スケジュールで流す時間帯を指定します。

  • 平日の朝礼の時間帯だけ、今週の事例のプレイリストが流れるようにスケジュールを設定する(プレイリストを曜日ごとに変えたい)
  • 朝礼後は、詰所や休憩所のモニターで同じ事例を繰り返し流し、朝礼に出られなかった人や遅れて入場した人にも見てもらう
  • 事例は週替わりにし、前の週の事例は「今日の行動」の1枚だけを残して振り返りに使う
  • 無災害記録表アプリを同じ画面に置き、無災害の日数と今週の事例を並べて表示する
  • 外国人材が多い現場では、スライドの文字を日本語と母国語で併記する(多言語対応はできますか?)
  • 複数の現場で同じ事例を共有する場合は、モニタータグで一括配信する(同じコンテンツを複数のプレイヤーに一括で適用したい)

再生レポートを有効にすると、どのコンテンツをいつ再生したかを記録し、CSVで出力できます。安全教育をいつ、どの事例で行ったかを振り返る際の参考になります。

叱る教育から伝わる教育へ:話し方のポイント

同じ事例でも、話し方しだいで受け取られ方は大きく変わります。朝礼で事例を話すときに意識したいのは、次の点です。

  • 個人名や、特定できる現場名・会社名は出さない
  • 「誰が悪いか」ではなく、「なぜその判断をしたのか」「どうすれば判断しやすくなるか」を話す
  • ヒヤリハットを報告してくれた人がいれば、名前を伏せたうえで「報告のおかげで共有できた」と感謝を伝える
  • 問いかけは1つだけにして、聞き手が考える時間をとる
  • 最後は「気をつけましょう」ではなく、今日の作業でできる具体的な行動で締める
  • 季節や工程が変わったら、似た作業が始まるタイミングで過去の事例を再び取り上げる

KY活動で事例を生かす方法はKY活動を伝わるものにする方法、記憶に残る伝え方の工夫は記憶に残る現場づくりと安全でも紹介しています。

よくある質問

事例はどこから集めればよいですか?

まずは自社のヒヤリハット報告や事故報告が一番の材料です。報告が少ない場合は、業界団体や行政が公開している災害事例を参考にし、自分たちの現場の作業に置き換えて物語にする方法もあります。

ヒヤリハットの報告が集まりません。

報告した人が責められたり、手間が大きかったりすると、報告は集まりにくくなります。朝礼で事例を取り上げるときに報告への感謝を伝える、メモ1行や口頭でも受け付けるなど、報告のハードルを下げることから始めましょう。報告が教材として生かされていると分かれば、次の人も報告しやすくなります。

動画を作る時間がありません。

写真と短い文章のスライドで十分です。現場の写真をスマートフォンで撮り、5枚程度の画像にまとめて登録するだけで、朝礼で使える教材になります。管理画面はスマートフォンのブラウザからも操作できます(スマホからでも操作できますか?)。

1つの事例を、1つの行動につなげる

ストーリーで伝える安全教育は、状況・目的・分かれ目・結果・明日からの行動の5つで事例を組み立て、朝礼では1回に1つの事例を短く伝え、具体的な行動で締めることが要点です。叱るのではなく、全員で判断の分かれ目を考える場にすることで、事例の報告も集まりやすくなります。

朝礼や休憩所でのサイネージの使い方は資料ダウンロードで確認できます。